ゼノンの矢は2ヶ所にいる

僕は、子供のころ、ゼノンのパラドックスの1つ

「矢は、どの時点でも1点にいる、したがって運動というものは存在しない」

を知ってから、ず〜と悩んでいました。
微分がわかっても(dx/dtが確実な値をもつこと)
何の解決にもなりません。
「xにいるか、x+Δxにいるかの、どちらか」で、
これは、LimΔx→0 でも同じですから。

悩みが解けたのは、15年くらい前の「サイエンス」の数学の記事
にあったからです。そこには、
「xに矢がいる時、x+dxに矢がいるかどうか、数学では言及できない」とありました。

僕は「運動が存在するともしないとも、数学では言及できない」
と解釈しました。
もちろん、物理では、何の困難もありません。

このパラドックスを「数学だけで」解決してみます。
これを、
LimΔx→0「xに矢がいる時、x−Δxに矢がいるのか、いないのか?」
とします。
(x−Δx)=αx と置きます。
αは、
       0.9999999、、、 (9がN個)
で、
LimN→∞「xに矢がいる時、αxに矢がいるのか、いないのか?」
これは、当然「いる」です。
何故なら、
       LimN→∞ 10α−α=9α=9
       ∴ α=1

「xに矢がいる時、1xに矢がいるのか、いないのか?」は「いる」ですよね。

したがって、上記を置き直すと、
LimΔx→0「xに矢がいる時、x−Δxに矢がいるのか、いないのか?」
は、、 
       「いる」

です(結論が変わるわけないので)
なんと、

       矢は、xとx−dxの2ヶ所にいる

のです。
尚、LimΔx→0 と Δx=0 をごっちゃにしないように。
同じだったら、dy/dx が

       0/0 になります。

この「違いのわかる男」なら、
「矢は、xとx−dxの2ヶ所にいる」を納得すると思います。
しかし、
       これは、矛盾です。

矢を代表する1点を考えると、この点が、2ヶ所の位置を占めることになるからです。
矛盾としないためには、「x−dxは、実在の点でないので言及しない」
というのが「数学的立場」ということになります。

この命題は、
LimΔx→0「連続的に移動しているx軸上の点がx1にある場合、x1+Δxにはない」A
LimΔx→0「連続的に移動しているx軸上の点がx1にある場合、x1+Δxにもある」B
で、Aは、0.99999、、、が1である限り否定されます。
Bは、

       言及できない=数学の範疇にない

として、数学から追い出してしまうしかない。
というのが結論です。